パン田が
クルートに初めて出会ったのは、2年前、今の職場で働きはじめて、数日後だった。
職場は新しくなった京成百貨店から徒歩2分という、パン田にとっては素晴らしい立地であった。
そしてそれは同時に「クルートまでだって徒歩2分!」ということも意味している。
その日の昼休み、上司がパンを買いに行くというのでついていった。
それが、クルートである。
まだ水戸の街が新鮮だったパン田にとって、京成の裏手にひっそりと店があること自体驚きであった。
ちなみにクルートの斜め前には
「炉ん」というレストランがある。そこもオススメだ。
上司は例によって「いちじくのコンプレ」と、その他いくつか買っていた。
パン田はメープルコッペやメロンパンあたり・・・無難な、明らかに美味しそうな、そして比較的安価なものを買った。
◆アプリコット 210円

脈絡は無いが、これも「明らかに美味しそうな」パンである。
みずみずしく甘いアプリコットと濃厚な甘味のクリームがうまく融合している。
当時はそれほどパン好きではなかったし、無難なものを選ぶのは自然であろう。
とは言え、クルートのパンを美味しいと感じたのは事実で、
パン田はそれから1週間と経たぬうちにリピートしたのである。
職場には元々パン好きが多かった。
同僚とともに幾度となくクルート、そして京成地下のポンパドウルに足を運んでいるうちに、
パン田は次第に自分の中に芽生えつつあるものを感じていた。
◆平焼きあんこぱん 150円


つぶあんである。
平焼きのあんぱんは他にもどこかで見かけたが、珍しいことには変わりはない。
なにより、ネーミングが良い。
そう言えば、クルートであんこを使ったものはあまり見ない。貴重なあんこぱんである。
生地は薄いながらももちもちとしていて、ぎっしりと詰まったあんこを充分に包み込んでくれる。
そんな環境の中、パン田のパン好きを決定づけたのが、
秋に転勤してきた新たなパン好きの存在であった。
その人物は、まさにパン好きの次元が違っていた。
知識、味覚、こだわり、全てがパン好きの称号にふさわしいものであった。
これまで出会った「パン好きの人」たちが、一瞬で霞んだ。
そしてパン田は、自身が感じていた想いを、この時初めて口にする。
「俺もパン好きだよ!」それから1年半。
パン田は今では「パン好き」と広く認識されるに至ったが、
まだあのレベルには到底達していないと感じている。
◆オリーブマリネのフォカッチャ 200円

オリーブは表面に見えている5つのみである。
一見アンバランスだが、オリーブの独特のクセと香り、食感の強力さに対する緻密な計算によるものであろう。
生地自体の味わいも実に豊かだ。
クルートとの出会い、パン好きの同僚・上司との出会い、そして、「パン好き」との出会い。
それら数々の出会いにより、パン好きのパン田は生まれ、
そして、当ブログ、「パンダ兄弟の茨城パン巡り」が誕生した。
それらの出会いは、今の職場が与えてくれたものだといえる。
もちろんそれだけでなく、もっともっと様々な出会いと、経験もさせてくれた。
本当の意味での「自己の認識」も味わった。
そして今、パン田はその職場を離れることを決意した。
2年間の様々な変化の結果、選択したのだ。
だが、別れは終わりではない。
「職場」も「仲間」も「パン好き」も「クルート」も、その他の様々なことも、
これからも、また違った形で続いていく。
そう信じながら、パン田はまた、徒歩2分の道のりを歩いていく。
一歩一歩を、慈しむように。